2017年12月 9日 (土)

エルサレム首都認定の思惑      ~ゆうてもええかな~

 トランプ米大統領は6日午後ホワイトハウスで演説し、エルサレムをイスラエルの首都として認める宣言文書に署名し、テルアビブにある米大使館をエルサレムに移転させる手続きを始めるよう、国務省に指示した。パレスチナや中東諸国は反発し、8日金曜日の礼拝のあと、デモが頻発した。また国連でも、国連安全保障理事会の緊急会合が開かれ、英仏を始め各国が米国批判を展開し、米国は孤立状態となった。
 エルサレムはユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地。その地位はイスラエルとパレスチナの和平交渉で決めるという国際合意に、米国も今まで同調していた。その立場を覆した形になる。即ち、前政権まではイスラエルとパレスチナの和平を取り持つ立場であったが、トランプ政権はそれを放棄し、イスラエルの主張を認めると宣言したに等しい。
 アラブ諸国はもちろん、欧州なども、パレスチナ和平交渉の行方を見守る立場を維持している。和平交渉が停滞している現状では、どちらに肩入れしても、中東地域の緊張が高まり、武力衝突、テロを誘発することが目に見えている。そんな中、イスラエルの主張に沿いエルサレム首都認定を公約に掲げたトランプ政権が誕生し、特にアラブ諸国は自制を求めていた。
 今、このタイミングで、首都認定宣言を出す国際的理由は、どうやら見当たらない。イスラム教徒に対して、聖地エルサレムをイスラエルの首都と認めることを説明できないし、対立を生むことは必至。米国はイスラエルとの関係が緊密で、イスラエルの立場を擁護してきたが、それでもエルサレムの帰属問題は国際合意の下に、和平交渉後としていた。今回の認定宣言は、トランプ政権がそれまでの方針を転換し、政権を支持するユダヤ系に対するアピール、内政あるいは政権基盤のための宣言と見られ、反米感情をあおることになりかねない。
 反発を買ってまで踏み切ったのには、何か思惑があるのだろうが、分からない。公約実行の実績作り以外に思い当たらない。自国主義のわがままなのかねえ。
 
                           (仲)
 
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2017年12月 2日 (土)

退位日決定の駆け引きは      ~ゆうてもええかな~

 政府は1日午前、三権の長や皇族らでつくる皇室会議を宮内庁で開き、天皇陛下の退位日について意見を聴いた。その結果を踏まえ、平成31年4月30日退位、翌5月1日に皇太子さまが天皇に即位、同時に改元することを発表した。来週にも閣議に皇室会議の結果を報告した上で、退位特例法の施行日を定めた政令を閣議決定し、退位日を正式に決定する
 退位日が決まるまで、政府内で駆け引きがあったようだ。首相官邸側は、当初、平成30年末に退位、明けて1月1日の改元がキリがいい、として、有力案としていた。まあ、考えは分からなくないが、宮内庁がかみついた。年末年始、皇室行事が続く時期であることを考慮していない、と。それではと、代案を年度末の3月末とすることで検討に入ったが、衆院解散で選挙戦突入したため、官邸側は選挙後に検討することにした。ところが投票日の前日、一部報道が3月末案を報じた。
 官邸側はこれを、平成30年末案回避を確定させるため宮内庁がリークしたと考えた。
 その後、官邸内で4月末案が急浮上した。3月末は年度替わりで、転勤異動や学校の卒業入学で人が動く時期だとか、統一地方選の時期と重なるだとか、理由をつけて、4月末ならゴールデンウィーク中だからいいだろうと出してきた案ということだが、本音は、報道通りではなく、即ち宮内庁の意向ではなく、官邸主導で決めたことにしたいというところだとの報道がある。
 そして皇室会議で、多数決ではなく、国民の総意に基づくという憲法の規定から外れないよう、即ち多数決で考えが割れたり、別の案が出てきたりすることを防ぐ形で、4月末退位となった。
 国民の生活レベルで言わせてもらえば、どの案でも対応できる。準備期間さえきちんと取ってもらえば文句はなくて、日程案を二転三転させる必要などないと思う。事前に官邸と宮内庁がお互いの都合で駆け引きしただけで、意思疎通があれば衆院選前くらいのタイミングで案を固めることができたはずだ。首相官邸が通した結論だから、一応、国民の総意となるわけだが、経緯には納得しかねる。退位についての規定がないから、すんなりいかないのはやむを得ないか。
 
                            (仲)
 
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2017年11月25日 (土)

減反廃止でコメ高く      ~ゆうてもええかな~

 来年度から、国の減反政策が廃止され、生産調整に伴う交付金が支給されなくなる。コメ産地ではこれを見越して、高く売れるブランド米や、引き続き補助が続く飼料米や小麦生産などに転換されている。そのあおりで、業務用米が不足し、値上がりしている。
 今に始まったことではなくて、今年の作付け時にはすでに分かっていたはず。業務用米には、おにぎりやスーパー等で販売される弁当や寿司などの米飯加工、外食産業に卸される米飯がある。この業務用米の、卸業者への卸価格が、ここ3年で1.4倍になっている。
 一方、おにぎりなど、消費者が購入する米飯加工品の価格は大きく変動していない。コンビニなどは、具材を高級にするなどして高値をつける商品をそろえることで調整を図っているが、スーパーの総菜コーナーに並ぶおにぎりは、鮭や昆布など一般的な具材が並び、価格も100円前後。値上げすると、高値感が出て売れないのでは、と小売業側が受け入れないケースが多い。学校給食の米飯も、値上げしづらい。
 大手業者なら、コメ本体の値上がりを、配送費や玄米で購入して自家精米するなどコストダウンで小売り価格を維持している。中小加工業者は、卸価格の上昇分を転化できず、苦しい経営が続く。
 生産業者からすると、加工用米に向く粘りの少ない品種は、減反廃止によって生産量が増加すると価格が下がる怖れがあるから、高値で売れるブランド米への転作が進む。あるいは、補助が続く飼料米への転作も増加した。業務用米への回帰の動きはなく、減反政策での休耕地で生産を復活させない限り、増量は見込めない。すなわち、高値水準が続くことになる。
 外国産米が入り込む余地がここにある。主食確保という食糧安定供給は政府の役目だが、経済で見れば、用途と価格によって棲み分けるのは自然の成り行き。コメだけ特別に価格維持したいなら、そこを工夫するのは政府の役目だ。食費がかさむのは嫌だから、知恵を出してくれ。
                            (仲)
 
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2017年11月18日 (土)

日馬富士暴行に見る危機管理      ~ゆうてもええかな~

 大相撲の横綱日馬富士が、巡業先の鳥取での酒席で、幕内力士貴ノ岩に暴力を振るったとする事件が、貴ノ岩、貴乃花部屋側からの被害届を受けて警察が任意で事情聴取をする事態に至った。12日初日の九州場所に貴ノ岩は初日から休場、日馬富士も2連敗ののちヒジ痛を理由に休場している。
 この事態がマスコミで大きく取り上げられたのは、日馬富士がビール瓶で殴打した、頭蓋骨骨折の診断があった、傷害の被害届が警察に出された、ということだが、ビール瓶は否定する報道が出始めたこと、診断書は骨折疑いであり全治2週間の診断との報道もあり、警察の聴取も早々に動いているため、実際に起こったことが少なからず明るみに出ることと思う。
 ここでは、危機管理という観点から考えたことを挙げる。
 まず、相撲協会側の危機意識だ。相撲界では、伝統的に体力の限界まで追い込む稽古をする世界で、今までには指導の過程で手が出ることもあるだろう。ただ、けがを負わせて相手の力士に直接ダメージを与え、結果的に休場や、稽古不足で負け越すことがあれば、目に見えるリスクがあるわけで、それは協会で危機管理をすべきだろう。格闘技に長けた力の持ち主であるから、なおさら。
 日馬富士側。横綱は力士の中で最上位の格であり、パワーハラスメントが許される時代ではないことを自覚する必要があるだろう。協会の指導は分からないし、品格どうこうは部外者が言うことではない。ただ、上位の地位にある者は、権限と同時に責任が伴うのは相撲界でも同じだろう。
 貴乃花部屋側。力士を直接管理し指導しマネジメントする立場にあり、日馬富士と伊勢ヶ浜部屋とで折衝する窓口になるはずで、被害の状況と事実確認で対処の判断をするべきではないかと思う。少なくとも報道に出ている情報では、当日以降、被害届を出しても協会内、部屋同士で折衝した形跡はない。マネジメント側として妥当だっただろうか。
 相撲界の話だが、企業にも相通ずる危機管理案件があるのではないか。
 
                             (仲)
 
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日馬富士暴行に見る危機管理      ~ゆうてもええかな~

 大相撲の横綱日馬富士が、巡業先の鳥取での酒席で、幕内力士貴ノ岩に暴力を振るったとする事件が、貴ノ岩、貴乃花部屋側からの被害届を受けて警察が任意で事情聴取をする事態に至った。12日初日の九州場所に貴ノ岩は初日から休場、日馬富士も2連敗ののちヒジ痛を理由に休場している。
 この事態がマスコミで大きく取り上げられたのは、日馬富士がビール瓶で殴打した、頭蓋骨骨折の診断があった、傷害の被害届が警察に出された、ということだが、ビール瓶は否定する報道が出始めたこと、診断書は骨折疑いであり全治2週間の診断との報道もあり、警察の聴取も早々に動いているため、実際に起こったことが少なからず明るみに出ることと思う。
 ここでは、危機管理という観点から考えたことを挙げる。
 まず、相撲協会側の危機意識だ。相撲界では、伝統的に体力の限界まで追い込む稽古をする世界で、今までには指導の過程で手が出ることもあるだろう。ただ、けがを負わせて相手の力士に直接ダメージを与え、結果的に休場や、稽古不足で負け越すことがあれば、目に見えるリスクがあるわけで、それは協会で危機管理をすべきだろう。格闘技に長けた力の持ち主であるから、なおさら。
 日馬富士側。横綱は力士の中で最上位の格であり、パワーハラスメントが許される時代ではないことを自覚する必要があるだろう。協会の指導は分からないし、品格どうこうは部外者が言うことではない。ただ、上位の地位にある者は、権限と同時に責任が伴うのは相撲界でも同じだろう。
 貴乃花部屋側。力士を直接管理し指導しマネジメントする立場にあり、日馬富士と伊勢が刃まっ部屋とで折衝する窓口になるはずで、被害の状況と事実確認で対処の判断をするべきではないかと思う。少なくとも報道に出ている情報では、当日以降、被害届を出しても協会内、部屋同士で折衝した形跡はない。マネジメント側として妥当だっただろうか。
 相撲界の話だが、企業にも相通ずる危機管理案件があるのではないか。
 
                             (仲)
 
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2017年11月11日 (土)

9月期決算好調なれど      ~ゆうてもええかな~

 今年度の上場企業9月期決算発表がピークになっている。3月期決算の企業なら、中間決算に当たる。特に輸出が好調で、多くの企業で営業利益、純利益ともに高水準で、全般で過去最高水準となる勢いだ。
 明暗はある。好調なのは、アメリカでの好景気を牽引するIT関連で、輸出が好調。半導体が非常に活況で、家電などをインターネットにつなぐ「IoT」が浸透し始めている。その次には、AI搭載技術が急伸しており、半導体関連は当面、現状の勢いを保つ。
 アメリカに限らず、新興国でもスマートフォンと自動車の需要が増加している。自動車はハイブリッドや電気自動車が展開している。スマートフォンもまだ行き渡っているとは言えない状態で、まだまだ伸びる。
 一方、不調の業種もある。スマートフォンの普及で、コンパクトデジタルカメラ市場が鈍化している。また、スマートフォンによるテレビ離れ傾向で、液晶パネルも苦しい。小さい画面はより高輝度の有機ELが競争相手となっている。他の家電同様、テレビも「IoT」技術の組み込みがなければ、新鮮みが出にくい。
 好調な企業は、政府は賃上げを要請しているが、ボーナスが期待できる程度のようだ。アメリカ経済が好景気を牽引しているが、トランプ政権下ではいつ状況が変わるか分からない。アジア歴訪中の大統領は、経済課題が第一で、ビジネスの話が最重要のようだが、政権基盤は盤石ではない。また、特に製造業や運送業などでは、増益分は省力化、自動化の設備投資に回したいと言っている。設備業界が良くなるのは良い傾向だが、一部限られた業種であり、国内消費に貢献するレベルではない。
 検査員が足りないとか、そういう体質の問題を抱えた企業は、話は別だ。必要な人手は確保しなけりゃ。手当を出してでも育成すべし。
 
                           (仲)
 
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2017年11月 4日 (土)

iPhoneXの波及効果      ~ゆうてもええかな~

 3日、アップル社の新型スマートフォン『iPhoneX』が発売された。通常はインターネット予約だが、今回は予約無しでも直営店での販売があるとのことで、東京・表参道のアップル直営店の前には開店前に約550人が並んだ。
 iPhoneXは、9月発売の『iPhone8』の上位機種として展開することになりそうだ。ユーザーが操作する点で、大きな違いは、指紋認証が顔認証に変わって、指紋認証にも使われていたホームボタンを無くしたこと、ディスプレイを有機ELに変更してクリアな画面にしたことだろうか。操作性が変わったためか、『X』は11万円を超える価格設定となっている。
 部品生産が遅れたため、品薄となっており、携帯大手各社の初日販売分は予約でほぼ完売。年内に順次生産が続くようだが、早く手にしたい人向けに直営店での予約無し店頭販売となったようだ。発売開始のスタートダッシュを印象づける効果もあった。
 パソコンの販売が落ち込んで、電子業界の起爆剤が無く、iPhone8も様子見で伸び悩んだなかでのiPhoneX発売で、新機能や有機EL画面を新規採用していることも含めて、関連部品業界が作り込みに大わらわであることは想像できる。現時点では、iPhone発売10年をターゲットに開発されたこともあって、部品もアプリも汎用性に欠ける。11万を超える価格は、来年以降、部品の量産化で安くできるだろうし、アンドロイド系にも技術競争という点で波及があれば、電子業界への貢献も期待できるかもしれない。ただし、部品製造は量産で安価にできる東南アジアなどに依存する傾向に変わりは無いが、軽薄短小化技術はスマートフォンには必須で、バッテリー、メモリー、ディスプレイ込みで、片手で持てる重量と、加熱しない安定駆動性が求められる。システム開発と部品開発の両方が求められる。技術力で、各業種のメーカーがしのぎを削れば、電子業界の基幹は強固になる。高価になるのは当然だろう。
 消費者として、高価な機種を選ぶかどうかは、別問題だけどね。
 
                           (仲)
 
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2017年10月28日 (土)

東京モーターショーと無資格検査      ~ゆうてもええかな~

 東京モーターショウーが25日開幕し、28日から一般公開も始まった。
 自動車の技術開発は主に、電気モーター化と自動運転で競争が激しい。電気自動車は、充電式が出始めていて、燃料電池車の展示も出ている。
 自動運転は、完全自動化が目標だが、すでに障害物を検知して停止するシステムは汎用化されており、センサーとAI技術で運転をサポートするシステムは試験段階に入っている。
 従来のガソリンや軽油を燃料とするエンジン搭載のみの自動車とは、駆動系と制御系が全く変わっていて、過渡期にある業界だから、ビジネスチャンスも広がる。自動運転は、トラックやバスなどの大型車で先行需要がありそうだが、道路環境の整備も必要であれば、関連企業含めて大きな市場となるだろう。
 夢は見たい。それと同時に、夢を実現する技術が必要になる。最先端技術を搭載した車でも、故障やトラブルが起きては何にもならない。
 現在でも、自動車産業の品質基準は厳しく規定されている。故障が事故に直結し、人命に関わる機械だから、故障させないための品質管理システムが設定されている。その厳しさは、家電機器の比ではない。だから、完成検査の無資格検査員実施は深刻な問題で、重大だけど、法律の規定がなく自社基準での検査員認定に任されている。おそらく、法律で認定検査員の完成検査を義務づけると、輸入車に適用できるのかという摩擦が生じるだろうから、法的義務にできないのだろう。
 日産に続き、スバルでも無資格検査が明らかになった。自動車の技術、モーターや自動運転装置搭載車が出てくるのだから、検査方法も変わるだろうし、検査する基準と、検査して合格かどうか判定する技量が整わないと、安全な車だと言えない。
 先端技術の未来が明るく、システムは複雑になる。出荷検査する能力は、ますます重要になりますぞ。
 
                             (仲)
 
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2017年10月21日 (土)

衆院選投票日に嵐来襲      ~ゆうてもええかな~

 日産自動車と神戸製鋼所の不正のニュースは、現在進行形で明るみに出ているが、前回前々回で触れた繰り返しになるから、ここでは触れない。
 22日投開票となる衆院選は、当日に台風接近の予報が出ており、特に西日本では強風と、秋雨前線による大雨に対する警戒を気象庁が呼びかけている。不急不要の外出を控えた方が良いから、なるべく安全な、暗くなるまでに投票を済ませたい。
 風で飛びそうなものは片付ける必要があるから、一部では選挙ポスター掲示板の撤去を前倒ししたり、離島では投票を21日に繰り上げて、台風が来る前に選挙管理委員会に運ぶ判断をしたところもある。
 天候は荒れ模様だけど、選挙戦はどうだっただろう。第三極の新しい風が吹く気配があったが、早々に逆風にさらされた。今の政界は、与党への追い風は強くないが、反与党の風向きが安定せず、風力が衰えている。政局は、もはや選挙後の野党編成への動きに移っている。当選が確定してから、離合集散が見られるだろう。
 投票日に天候が悪いと、無党派層の投票率が減り、組織票を持つ党が強くなるのが一般的だ。その点も与党には有利で、日産と神鋼の問題が大きくニュースで取り上げられて世間の耳目が集中したのも、世論が与党批判に集中しない方向に作用した。
 経済面で、株価が連騰している。アメリカの好景気に引っ張られる形で、国内の経済が好転している実態は見られない。消費増税で国内消費が減速するのは目に見えているから、与党にとって本当の山場はそこ、すなわち2年後の次期参院選での審判が注目点になる。
 与党政策が手詰まりで、ひとたび新しい風が吹けば厳しい状況なのに、世論は嵐とならず。政局というコップの中の嵐が、22日から吹きそうだ。
 
                             (仲)
 
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2017年10月14日 (土)

神戸製鋼データ改ざん拡大      ~ゆうてもええかな~

 前回、日産の問題を書いたばかりだが、今回の件は同列で語れない規模の問題に拡大する可能性があるので、整理しておく。
 神戸製鋼所は8日、アルミニウムや銅製品の一部で強度や寸法などを偽って出荷していたと発表した。この時点では、国内の生産拠点と子会社から出荷した分で、出荷先は200社程度だったが、13日の会見では、中国・マレーシア・タイのグループ会社を含む16の製品でデータ改ざんなどの不正があり、出荷先は国内外500社にのぼると公表した。まだ調査は完了しておらず、影響拡大が懸念されている。
 日産のケースとの決定的な違いは、神鋼の製品は素材に近いものということだ。日産は途中の工程内検査は、公的規定ではないが実施しており、完成品検査の問題だから、販売先の追跡が可能で、影響範囲が推定できる。
 神鋼はアルミや鋼材、金属管で、飲料缶から自動車や新幹線、航空機やミサイルの部品に使われている。自動車で見ると、自動車の部品は下請け孫請けといった委託先で加工したり、部品の形で購入したりするから、全車種のどこに神鋼製の素材が使われているか調査するのに時間がかかる。追跡先が広範囲になっている。
 不正の内容も、顧客の要求を満たさず性能データを改ざんして出荷したケースから、検査も試験も行っていないケースまであり、ミスとか従来からの慣例の類いではなく、組織ぐるみで意図的に性能データを書いて出荷していいと考えていたことになる。
 自動車部品など顧客がリコールすることになれば、当然、神鋼に補償請求するだろう。本気で立て直すなら、影響範囲を調査して補償等の対応をすること、関連会社含め全生産拠点の検査部門を見直して、合格しない製品は出荷しない体制にすることが必須だ。信頼はコンプライアンス遵守と検査コストをかけないと、得られませんよ。
 
                          (仲)
 
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