対中国の舵取り ~ゆうてもええかな~
24日、ワシントンで日本と米国、オーストラリア、インド4カ国の首脳会合・クアッド首脳会合が開かれた。インド太平洋地域の4カ国の結束を確認したとしていて、対中国包囲網を固めていこうという主旨だろう。ただ、4カ国の足並みがそろっているかというと、それぞれの立場がある。インドは国境を接しており、経済的にもつながりがあって、なるべく刺激したくない。アメリカは、力で抑える中国は許せないけど重要な取引先でもあるので、冷戦を仕掛けることはできない。日本は米中の間の立場で、同盟国との協力とご近所づきあいとの両立。オーストラリアは、従来は仲のいい関係だったが、新型コロナウィルス起源の国際調査を呼びかけたことで、中国が報復に出て、渡航自粛や報復関税など、貿易摩擦に発展して、最も険悪と言っていい。
オーストラリアとアメリカは、イギリスを加えた3カ国で、安全保障の枠組みであるAUKUSを立ち上げた。中国の太平洋地域での力の拡張を抑える狙いで、オーストラリアの対中国と見られる原子力潜水艦建造支援が決まった。
中国はというと、経済面で大きな動きがあった。TPPへの加盟申請である。結果的に台湾と同時期の加盟申請になり、TPP加盟11カ国は難しい判断を迫られる。オーストラリアは断固反対だろうが。
このTPP加盟申請、本気で中国が加盟したいと考えているとは考えにくい。アメリカ非参加の枠組みを揺さぶって牽制したいのだろうし、中国の狙いは、経済的には、むしろ西だろう。一帯一路の到達地、EUとの関係強化だろうが、ここ最近では、新疆ウイグル自治区での人権問題で壁ができてしまっている。
中国不動産大手の恒大集団が破綻危機に追い込まれていることが表面化した。上海市場を始め世界各国の株価に影響したこの問題、中国政府が介入に入るか、それでも支えきれないか。中国を始め各国の舵取りが難しい局面になる可能性がある。
(仲)