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2018年10月27日 (土)

日中関係改善の幻影      ~ゆうてもええかな~

 安倍首相が25日から中国を公式訪問し、李克強首相、習近平主席と相次いで会談した。日中関係改善を両国とも内外にアピールした形だが、成果はあったのだろうか。
 安倍首相は、第二次内閣発足から6年近く経過し、アベノミクスで景気回復を図ったものの成長戦略が進展せず息切れ状態で、長期政権を担った首相としての実績が欲しいところ。冷え切った日中関係改善を進めたいし、懸案が解決したいところだ。ただ、外交面での立場は微妙で、米中貿易戦争のさなか、日中関係が親密になれば、トランプ大統領の攻撃の的になろう。かといって、米中対立が長引いて中国経済が悪化すると、日本経済のダメージも大きい。
 習近平主席側は、米中貿易戦争で妥協できない。しばらくは高関税でアメリカ向けの輸出が厳しい状況が続く。物が売れないから工場を止めると経済成長が停滞する。だから売り先を探したい。日本と協力することで、日本への輸出もさることながら、日本の技術、海外進出のノウハウを使ってアジアに販路を広げたい。『一帯一路』構想で他国に資金を貸し付けてインフラ整備を進めているが、貸付金の返済ができない場合に中国の管理下に置くことを求めたり、中国の覇権を広げる目的だとの批判が出ている。日本が協力するとなれば、批判をかわせる。ただ、中国が日本に求める協力は、資金援助と技術の提供。構想自体に口を出させるつもりは無いはず。
 だから今回の首脳会談では、経済、ビジネスの案件しか進展していない。東シナ海支配、南シナ海海洋進出の問題、歴史問題など、経済以外の懸案はまったく進んでいない。いや、中国は歩み寄りたくない案件だろう。
 米中関係が冷え込んだ状態で中国の経済政策維持のための日中首脳会談だから、日中関係の改善は一時の幻に過ぎないかもしれない。経済問題だけに、中東情勢に伴う原油高、世界経済停滞のリスクが顕在化した時点でころっと変わってしまう。安倍首相の舵取りが難しい局面で、当面はアメリカ中間選挙後の情勢を見ながら調整することになるだろう。
                            (仲)
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2018年10月20日 (土)

免震機器検査改ざん、業界の代償      ~ゆうてもええかな~

 油圧機器KYBと製造子会社が、免震・制振オイルダンパーの検査データを改ざんし、本来合格では無いオイルダンパーが出荷されていたことが分かった。KYBは19日、国土交通省の基準や顧客の性能基準に合わない装置が使われた疑いのある物件が1095件あることを公表した。具体的な建築物の名称は持ち主の了解を得る必要があるため、開示は70件に留まっているが、了解が取れ次第順次公表するという。
 免震装置は、建物の地下で建物の揺れを吸収する目的で設置されていて、点検や交換のために人が近づくことが容易だ。制振ダンパーの方は、建物の骨組みを支える形で組み込まれていて、壁と一体化している場合、交換が容易ではない。最悪、壁をはがしての工事になる。現在、建築業界は人手や資材の不足が深刻で、代替品の生産が追いつかず、全交換には2年以上かかるとされる。
 建物の持ち主や住人が怒るのはもっともだし、国の基準を満たさないもの、顧客要求を満たさないものを出荷した疑いに関して同情の余地は無い。その上で、業界全体のリスク管理という観点から見てみたい。
 KYBは国内シェア45%の大手である。その大手でも、生産計画を維持するために検査結果を改ざんした。不適合品の出荷を止めれば、欠品、納期遅延になり、建築物の完成にも遅れが生じるだろう。需要に対して供給が不足していることは容易に想像できる。納入先、そしてその先の建設業者、施工主が納期遅延のリスクへの対応を考慮していただろうか。
 部品メーカーから加工業者を経て完成品をユーザーに納めるまでの一連の流れ、サプライチェーンでリスクを考える。建設業界は、発注から引き渡しまでの期間が長く、部品や材料での納期遅延で後々の建築日程に影響する。そのリスク、誰が引き受けるのか。たいてい、立場の弱いところにリスクが集中する。その結果が今回の改ざんだとすれば、建設業界は信頼失墜という代償を負う。
 業界全体でリスク管理を考えないと、東京五輪後にいろんな不具合が吹き出すんじゃないかな。
                              (仲)
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2018年10月13日 (土)

アメリカ株安は来週もみ合いか      ~ゆうてもええかな~

 10日の米国株急落に端を発した世界同時株安は、12日の反発でいったん落ち着きを取り戻すかに見える。年初からの経緯だと、期待値で上がっていた分が戻った感はあるが、いい状況と悪い状況と様子見の状況が入り交じり、来週は荒い展開になる可能性がある。
 アメリカで急激な株安が進行すると、全世界の市場に波及する。日本も巻き込まれたが、大企業の景況で極端に下がる要因は無い。アメリカの投資家がどう動くかで左右される怖れがある。
 そもそも、アメリカの景気は堅調だ。良くも悪くもトランプ政権の保護政策と減税で、好調を維持し、失業者率は低下している。9月の物価上昇率が予想より低く、金利上昇気配が和らいだ。物価が上がる、インフレになると、中央銀行は金利を上げて市場のドルの流通を引き締める。金利が上がると、投資家は資金を株から預金へ移す。また、貸出金利が上がるから、企業は融資を受けづらくなる。これらの先を見越した投資家が、株を売ったのが今週の株安につながった。
 株を売る背景には、トランプ政権の通商政策、貿易戦争への警戒と、減税効果がなくなる来年の業績先読みの心理が働いているようだ。今はアメリカの景気は堅調だが、来年はどうだろうか、と。トランプ政権は11月の中間選挙に向けて、株高や失業率などの経済政策の成果を維持するため、短期的な動きしか見えない。中央銀行の利上げ政策を攻撃したり、日米通商交渉に向けて円安誘導を許さない条項を入れようというのもその一環だろう。
 来週、9月期の企業決算発表が本格化する。その数値を見て、あるいは利上げ政策の動向を見て、利益確保の動きが出るかどうか。景気はいいが、金利上昇は株式市場には悪い。来週の展開は要注意。アメリカが株安になると、日本もいったん下がり、年末から来年の景気に影響する。
 米中貿易戦争の影響が実際に出るのは、来年以降。先々のリスクではあるが、アメリカへの輸出が低調になると、中国経済が減速する危険をはらんでいる。これも全世界の経済に波及する。ただ、米中双方、引くに引けない貿易摩擦になっているから、大きなリスクであることは確かだ。
                                 (仲)
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2018年10月 6日 (土)

トヨタとソフトバンク提携で活路      ~ゆうてもええかな~

 トヨタ自動車とソフトバンクは4日、移動サービス事業で提携すると発表した。新会社『モネテクノロジーズ』を出資比率ソフトバンク50.25%、トヨタ49.75%で設立する。2020年までは過疎地の高齢者ら交通弱者向けの配車サービスを始める。自治体やバス会社に車両や運行システムを提供し、歯医者や乗り合い・カーシェアリングのシステムを構築させる。
 今後、自動運転車を導入する。無人宅配や移動型店舗に使う構想で、2020年代半ばまでの実用化を目指す。もちろん、自動運転には法整備やインフラ整備が必要になるが、海外での整備が先行すれば海外進出もあり得る。
 トヨタ自動車は、自動車の需要がほぼ行き渡り、ハイブリッド車より電気自動車導入、自動運転へのシフトが世界的趨勢となって、自動車そのもののIT化の波が起こっている。自動車産業のなかでの展開には限界があり、市場開拓にはIT技術が必須と考え、提携に踏み切った。
 ソフトバンクも、携帯電話の需要がほぼ行き渡り、契約者数が伸び悩んでいる。新規開発技術として、5G通信を使った高速通信を使い、コネクテッドカー、周辺通信環境とつながる車のシステム開発に乗り出していた。システム技術をソフトバンクが、車そのものの技術をトヨタが提供することで、新しい需要を掘り起こすのが狙いだ。
 自動車とIT関連の企業提携は、ホンダとGMがグーグル子会社と、日産ルノー三菱連合がDeNAと提携の動きを見せており、技術開発競争の様相を呈している。システムと車両の開発を海外に先んじて進めれば、全体的なシステム、無人配車システムとか無人販売配送システムそのものが輸出産業になり得る。
 海外が先行して、規格を決められれば、それを守らざるを得ず、日本のシステムがガラパゴス化する。スピード勝負の最先端技術開発だから、資金と技術者をふんだんに投入できるもの同士が提携するのは当然。さて、5年後の世界はどうなっているかな。
                               (仲)
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