« 2017年11月 | トップページ | 2018年1月 »

2017年12月23日 (土)

大飯原発廃炉の企業判断と政策      ~ゆうてもええかな~

 関西電力は22日、2019年に運転期限の40年を迎える大飯原発1、2号機の廃炉を決め、地元や国に報告した。18年に解体する計画を原子力規制委員会に出し、作業は30年ほどかかる見通しだ。
 まず、企業側の観点から考えたい。原発だけでなく、企業が持つ設備、公共インフラにも共通する内容がある。
 原発は、福島第一原発の原子炉事故以来、規制が非常に厳しくなった。事故が起これば規制が厳しくなる。水俣病などの公害問題や、震災後の建築基準、廃棄物処理など、規制は厳しくなる一方。国際的には、環境問題が横たわる。二酸化炭素排出に関わるパリ協定は、今後の施設設備やエネルギー政策の改善を訴える。住民の安全と健康を守るという観点から、異論は出ないだろう。
 企業は、厳しくなる規制に適合させるために、設備改善を考える。補修、改造、廃止、新規建設を含めて、コストと作業期間を検討して対応する。規制違反の状態で続けることは、コンプライアンス重視の昨今では通用しない。明るみに出れば叩かれる。
 大飯原発1、2号機廃炉は、コストをかけて規制をクリアしても、コスト回収の見込みが立たないと判断したから。企業判断としては真っ当で、他の40年を超える原発で同じような判断が出ても不思議ではない。原発に限らず、プラントや設備を抱える企業や、建設後40年50年経過して老朽化するインフラも、補修か更新かの判断が迫られる。
 政策面では、エネルギー政策は直近の課題で、2030年度に原発発電20%を目指しているが、新基準対応コストは企業持ち。なら、廃炉判断も企業判断であって、政府が旗振って原発再開を目指すには限界がある。一方で二酸化炭素排出抑制は原発頼み。新しい案が出てこない。
 老朽化公共インフラの補修整備は政治の責任だが、災害対策でどこまでカバーできるか、見守るしかあるまい。
 
 今年の本欄更新は今週分までとさせていただきます。年明けは1月6日頃再開の予定です。
 
                             (仲)
 
                              戻る

2017年12月16日 (土)

伊方原発運転差し止めで示した判断      ~ゆうてもええかな~

 13日、広島高裁で、四国電力伊方原発3号機運転差し止めの仮処分を広島市と松山市の住民が求めた抗告審で、広島地裁の決定を覆し、運転を禁じる決定をした。伊方原発3号機は今年10月から定期検査のため停止中で、来年1月再稼働を予定していた。仮処分は即時に効力が発生する。今回の決定に対し、四国電力は広島高裁に保全異議申し立てと仮処分の執行停止の申し立てをする方針で、これで執行停止が認められない場合、決定に従い、来年9月30日まで運転できない。期限付きなのは、同時に広島地裁で運転差し止めの訴訟について審理が続いており、異なる判断が出る可能性を考慮したものだ。
 今回の広島高裁が示した判断で、主なポイントが3点ある。一つは、高裁で運転差し止めの決定をした初めての案件であること。東日本大震災以降、福井地裁と大津地裁で差し止めの判断がされたが、いずれも高裁での抗告審では認めなかった。
 二つ目は、火山の影響を重く見たこと。原発の立地が安全であることを立証するのは四国電力の責務であって、原子力規制委員会の適合判定に不合理がないことで立証の代替とできるとした上で、9万年前の阿蘇噴火の際、火砕流が伊方原発敷地内に到達していた可能性は低い確証がないとして、原子力規制委員会の適合判断は不合理とした。今まで、地震や津波の影響に関して審理されてきたケースが大半で、火山の影響をを指摘して運転を差し止めたのは初めて。火山、というより、原発立地にあらゆる災害を想定して検討する立場は妥当だと思う。
 三つ目は、原発立地から100キロ離れた広島市を、原子力災害が及ぶ地域と認定したこと。単純な距離ではなく、災害が及ぶかどうかで判定されている。
 地震と津波の影響に関しては、原子力規制委員会の適合判断は妥当としている。検証の精度が上がれば、異なる判断が出てくるのだろうが、可能性が低い確証がないときは安全でないと推定する考え方は、地震国火山国日本では必要だろう。天災、人災含めて。
 
                            (仲)
 
                             戻る

2017年12月 9日 (土)

エルサレム首都認定の思惑      ~ゆうてもええかな~

 トランプ米大統領は6日午後ホワイトハウスで演説し、エルサレムをイスラエルの首都として認める宣言文書に署名し、テルアビブにある米大使館をエルサレムに移転させる手続きを始めるよう、国務省に指示した。パレスチナや中東諸国は反発し、8日金曜日の礼拝のあと、デモが頻発した。また国連でも、国連安全保障理事会の緊急会合が開かれ、英仏を始め各国が米国批判を展開し、米国は孤立状態となった。
 エルサレムはユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地。その地位はイスラエルとパレスチナの和平交渉で決めるという国際合意に、米国も今まで同調していた。その立場を覆した形になる。即ち、前政権まではイスラエルとパレスチナの和平を取り持つ立場であったが、トランプ政権はそれを放棄し、イスラエルの主張を認めると宣言したに等しい。
 アラブ諸国はもちろん、欧州なども、パレスチナ和平交渉の行方を見守る立場を維持している。和平交渉が停滞している現状では、どちらに肩入れしても、中東地域の緊張が高まり、武力衝突、テロを誘発することが目に見えている。そんな中、イスラエルの主張に沿いエルサレム首都認定を公約に掲げたトランプ政権が誕生し、特にアラブ諸国は自制を求めていた。
 今、このタイミングで、首都認定宣言を出す国際的理由は、どうやら見当たらない。イスラム教徒に対して、聖地エルサレムをイスラエルの首都と認めることを説明できないし、対立を生むことは必至。米国はイスラエルとの関係が緊密で、イスラエルの立場を擁護してきたが、それでもエルサレムの帰属問題は国際合意の下に、和平交渉後としていた。今回の認定宣言は、トランプ政権がそれまでの方針を転換し、政権を支持するユダヤ系に対するアピール、内政あるいは政権基盤のための宣言と見られ、反米感情をあおることになりかねない。
 反発を買ってまで踏み切ったのには、何か思惑があるのだろうが、分からない。公約実行の実績作り以外に思い当たらない。自国主義のわがままなのかねえ。
 
                           (仲)
 
                            戻る
 

2017年12月 2日 (土)

退位日決定の駆け引きは      ~ゆうてもええかな~

 政府は1日午前、三権の長や皇族らでつくる皇室会議を宮内庁で開き、天皇陛下の退位日について意見を聴いた。その結果を踏まえ、平成31年4月30日退位、翌5月1日に皇太子さまが天皇に即位、同時に改元することを発表した。来週にも閣議に皇室会議の結果を報告した上で、退位特例法の施行日を定めた政令を閣議決定し、退位日を正式に決定する
 退位日が決まるまで、政府内で駆け引きがあったようだ。首相官邸側は、当初、平成30年末に退位、明けて1月1日の改元がキリがいい、として、有力案としていた。まあ、考えは分からなくないが、宮内庁がかみついた。年末年始、皇室行事が続く時期であることを考慮していない、と。それではと、代案を年度末の3月末とすることで検討に入ったが、衆院解散で選挙戦突入したため、官邸側は選挙後に検討することにした。ところが投票日の前日、一部報道が3月末案を報じた。
 官邸側はこれを、平成30年末案回避を確定させるため宮内庁がリークしたと考えた。
 その後、官邸内で4月末案が急浮上した。3月末は年度替わりで、転勤異動や学校の卒業入学で人が動く時期だとか、統一地方選の時期と重なるだとか、理由をつけて、4月末ならゴールデンウィーク中だからいいだろうと出してきた案ということだが、本音は、報道通りではなく、即ち宮内庁の意向ではなく、官邸主導で決めたことにしたいというところだとの報道がある。
 そして皇室会議で、多数決ではなく、国民の総意に基づくという憲法の規定から外れないよう、即ち多数決で考えが割れたり、別の案が出てきたりすることを防ぐ形で、4月末退位となった。
 国民の生活レベルで言わせてもらえば、どの案でも対応できる。準備期間さえきちんと取ってもらえば文句はなくて、日程案を二転三転させる必要などないと思う。事前に官邸と宮内庁がお互いの都合で駆け引きしただけで、意思疎通があれば衆院選前くらいのタイミングで案を固めることができたはずだ。首相官邸が通した結論だから、一応、国民の総意となるわけだが、経緯には納得しかねる。退位についての規定がないから、すんなりいかないのはやむを得ないか。
 
                            (仲)
 
                             戻る

« 2017年11月 | トップページ | 2018年1月 »