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2006年5月26日 (金)

愛せる国か   ~ゆうてもええかな~

 やや旧聞に属するが、取り上げておきたい話がある。萱野茂氏死去のことである。
 5月6日、元参議院議員で、アイヌ文化の継承と振興に力を注がれた萱野茂氏が、急性肺炎のため亡くなった。79歳であった。その通夜が11日、北海道平取町葬として、中央公民館で行われた。アイヌ文化振興の関係者や、萱野氏の人柄を偲ぶ人たちが大勢、通夜に訪れたという。
 念のために書くが、アイヌは、ヤマト民族とは異なる民族であって、独自の風習や生活様式、文化を持っている。アイヌ語は、文字を持たないため、その伝承は口伝のみによるため、アイヌ語、そして伝わる物語、ユーカラを収集する作業は膨大な労力であり、萱野氏はその研究と収集の第一人者であった。アイヌ民族の代表、象徴的人物と言っていい。
 ヤマト民族(幕府や朝廷のことだが、あえてここではこう呼ぶ)の北上に伴い、交易をし、ときには侵略に遭い、アイヌ民族は徐々に奥地へ追われた。明治以降、政府は蝦夷地を北海道として管理下に置き、同化政策によって、アイヌ独自の文化を否定され、日本人に同化するよう強制された。現在では、アイヌは先住民族と認定する判例も出て、同化から、アイヌ文化の復興を目指す動きが強まる。北海道だけで、アイヌ民族は約2万人強が住み、ある人はアイヌ文化を守り、ある人はいまだに残る差別から、アイヌ民族であることを隠して生活している。
 話は飛ぶが、国会で教育基本法改正の審議が為されている。その中に、愛国心を教育の場で育てる、ということになっているようだが、忘れないで欲しいのは、日本人は皆一律に日本人であるとは限らない、ということである。単一民族国家だと思わない方がいい。圧倒的にヤマト民族が多いが、だからといってヤマト民族のみを念頭に置くのは、政治家としていかがかと思う。愛国心を一律に教育すると言っても、教育を受ける側は一律ではない。己が民族や風土を愛し、先住民族や他の民族に敬意を払い、それらのコミュニティが属する、日本という国を愛する。そういう大人を見て、子どもが育つ。愛国心は、教えることではなく、醸成されるものではないかと思う。
 国会でセンセイ方が時間と金をかけて議論することじゃない気がするけどなあ。
                                       (仲)

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2006年5月19日 (金)

見た目はいいけど  ~ゆうてもええかな~

 このところ、各企業の三月期決算が続々と発表されている。景気は上向き加減で、増収増益の見出しが目につく。売上が過去最高だとか、予想外の利益とか、いい話が踊っている。小売業や大手電鉄、サービス業に一部の建設業は、灯りが見えたようである。
 その影で、あまりよくなかった企業もある。製造業は、良い悪いが極端である。車や、ゲーム機を含めた電機関連は、比較的好調で、冬が寒いと、家電が売れる。薄型テレビ等のデジタル家電が売上を押し上げているのは確かだろう。車と家電、どちらも海外でのシェアを掴んでいるところは強い。輸出が増加傾向にあって、逆に国内向けはどちらかというと厳しい。景気はよくなったが、まだまだ60インチの薄型テレビを買おうという奇特な家庭はまれで、34インチ当たりのものがメインのようだ。
 化学関係も、今ひとつさえない。当然で、原油の元売りが上がりっぱなしで、先物価格はさらに高値を付けている。ナフサが上がれば、化学メーカーの利益は減る。あまりにも当然の話である。中国がじゃぶじゃぶ使い、産出国であるイランの情勢が不安定と合って、供給不安が高値をあおっている。
 そこへ、急激な円高が追い打ちを掛ける。一時期、115円から117円くらいだったのが、ここ最近は、109円当たりをうろちょろしている。輸出メーカーには打撃で、この三月期決算には影響はまだ現れていないが、九月期中間決算当たりには、為替差損がボディブローのように影響してくるかもしれない。
 そして、行財政改革にともなう増税。たばこや発泡酒などは値上げを余儀なくされている。年金保険料負担も増え、春闘の結果は良かったものの、その分をお上にさっ引かれたのでは、景気の恩恵を受けるヒマもない。景気回復期間は最長らしいが、回復の度合いは最高ではあるまい。今期決算はよくても、デフレからインフレに転換しつつある状況を見ると、本当の意味で、マイナス要因の影響が出てくる九月期の中間決算の方が興味がある。企業にどれだけ体力があるか、そこが今、問われている。頑張れ、ジャパニーズビジネスマン。
                                       (仲)

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2006年5月12日 (金)

研究の落とし物  ~ゆうてもええかな~

 宇宙航空研究開発機構は、国産ロケットで人工衛星を打ち上げるときに、相乗りさせる小型衛星の募集を始めた。主に大学の研究室が、重さ数キロ程度の実験、研究用の衛星を打ち上げたいときに、と利用を呼びかけている。重力のない世界、大気のない世界、衛星軌道からの観察など、地上ではできない実験や観測に利用してもらい、研究・教育に役立てよう、というわけだ。科学技術の進歩は大いにけっこう。未知のことが既知になることで、恩恵を受ける人はたくさんいる。存分にやってもらいたい。
 ただし、科学の進歩にともなって、落とし物が出ることにも気をつけてもらいたい。今、地球のまわりでは、スペースデブリと呼ばれるゴミが増えている。古くなった人工衛星や、壊れた人工衛星、人工衛星を運んだロケットの残骸など、大きな物は数メートル、小さな物では数cmから数mmといった小さな物まで。そもそもロケットで飛ばした物ばかりだから、そのままのスピードで飛び続けている。どれくらいかというと、時速1万~3万キロくらい。銃の弾丸の約10倍である。これくらいのスピードで飛んでいるのだから、当たったら大変で、10cmほどのデブリが当たると、宇宙船は破壊されると言われている。そんなのがロケットや人工衛星、スペースシャトルに当たったら大変だから、アメリカで比較的大きなデブリの監視をしている。その数、8000個。数mm程度のものは、推定で数百万個。5mm程度のデブリが当たっても、拳銃で撃たれたのと同じだけのダメージを受けるのだから、そろそろやばいんじゃないの、と、専門家は気を揉んでいる。
 時代はエコロジー。今まで、捨て方を考えないで技術を進歩させていった。水銀、原子力、フロンガス、プラスチック。ゴミを出さないよう、気をつけるのは、何も家庭だけの話ではない。企業も、研究機関も、捨て方が分からないようなものを闇雲に作らず、処理の方法まで考えた研究をしてもらいたいものだ。
 そういう研究は地味だから、儲からないのが難点だが。

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                                       (仲)

2006年5月 5日 (金)

手遅れだよ  ~ゆうてもええかな~

 阪神電鉄株をめぐる一連の動きで、村上ファンド側が突きつけた株主提案、即ち取締役9名の推薦と株主総会での決議を求めたことで、阪神が揺れている。
 事実上、経営権を村上氏が握ることになりかねない提案で、村上ファンドが持つ株式が42%であることから、このまま行けば、村上氏側の要求が成立することになるだろう。だから阪神側は、経営権の簒奪とは理不尽だ、と騒いでいるのだが、何をかいわんや。最初に村上ファンドが乗り出してきてから、もう半年以上も経っている。そのあいだに有効な防衛策を取れなかったのだから、このご時世、あまり同情はできない。
 それに、実際に村上ファンド側の提案を見ると、村上氏と、ファンド関連取締役7名、現阪神社外取締役1名のという構成になっている。一見して、鉄道事業をどうにかしようという面々とは思えない。梅田界隈の不動産の活用や不採算事業の整理などで、阪神の株価を上げて売り抜けようという目論見は見えるが、阪神の経営を乗っ取る気があるとは思いがたい。もしそんなことをすると、村上ファンドが単なるファンドではなく、経営益までしゃぶりつくすダーティーなイメージで見られてしまう。そうなると、出資側に気後れが出てしまい、ファンドへの出資額が減ることも予想される。これは村上氏に取って不利だ。
 村上ファンド側にも、誤算があったと思う。株の買い増しを進めるあいだに、阪神側がこうも無策で、いよいよとなって阪急に泣き付く事態になるとは思わなかったろう。阪神からの対抗策が出て、株価が上がったところで売り、となるはずが、1000円あたりで上げ止まり、どこからも支援の手は伸びず、阪急とて買値は800円となれば、売るだけ損。株価をつり上げる、最後の手段の株主提案だったのではないか。
 村上氏側も動きが取れなくて困っているはず。この半年間、阪神へ投入した金は塩漬けのまま、ファンドの出資者に分配する利益が出せないし、さらに長引けば、関西の阪神びいき(タイガースファンを含む)の心証を悪くして、世論を敵に回してしまうことになる。
 いずれにせよ、阪神側としては、打つ手無し。何をやっても手遅れだろう。不動産などの資産で借金して、1200円くらいで買い戻すくらいのことでもしないと、どちらも引けないだろう。今までの無策のツケということで、それくらいは損をかぶるのはやむを得ないだろう。
                                       (仲)

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2006年5月 4日 (木)

コラム『ゆうてもええかな』

このたび、Webマガジン『GAJIN』に連載していましたコラム『ゆうてもええかな』を、別館ブログにて掲載・更新することといたしました。土曜日更新で、世の中の出来事について言いたい放題、好き勝手に喋ります。

今週のコラムはこちら、GAJIN本館へはこちらへお越し下さい。

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